炉開き

季節が速足で進んでいます。
楓の枝先に紅がチラチラと見え始め、


気が付けば、はなみずきは裸木になっています。
一日庭に出なければ、咲いていた花が姿を消し、
山茶花が咲き始め、


柊にも、もう白い花が咲いていたりします。

冬が至る所に顔を出しているのですね。
霜月、名前の通りそろそろ霜が降りる頃、朝晩の冷たい風に
思わず肩をすぼめたくなることもあります。


昨日、炉開きをしました。

風炉をしまい、炉を開けて、冬点前に移る渡しの行事です。
お茶の世界ではこの日を新年の始まりと捉えるようです。
今回は義妹に炉開きの炭点前をしてもらいました。




香の替わりに菊の葉を使い、
浄めの塩をくべ、火打石で火の用心、吉を願いました。
家内安全、子孫繁栄を祈って、茶菓子は「亥の子餅」です。
私はもっぱら写真係、1お召し物で参加してくださったみなさんを
記念に残しました。
穏やかな秋日和に恵まれて、佳き日を祝うことが出来て幸いでした。
炉開きの後、皆さんのご希望で
台天目や唐物などお許しものの稽古に励んで

皆さん、ちょっと意気が上がって、いつもよりもお元気なように
お見受けしました。



薄の焼き印入りお饅頭は、上で唐物のお点前をしていらっしゃる
Oさんが手作りして持ってきてくださった品です。


母の旅立ちから来月で5年経ちます。
茶室に通ってこられる方たちはみな母のお弟子さんだった方々、
年を重ね通われることもお大変になられた方もいらっしゃいます。
5年の歳月は思いがけない変化も齎すことを知りました。
そろそろ、母の茶室「知川庵」を閉じる潮時なのではと
思い始めたのは、春頃からでした。
夏に皆さんに諮りましたら、惜しむ声が多かった一方で、
同意される方もかなりいらっしゃることが分かりました。
お話し合いを続けて、年末で幕を引く結論を出しました。
淋しさはありますけれど、次への出発点でもあると考えています。
私は来年から自分の家に私の茶室「菊寿庵」を開くつもりです。
残りの日々を大切に温めながら過ごし、
「知川庵」で母に育てられ、培ったものをバネに、
「菊寿庵」を楽しんで行きたいと思っています。