お茶を楽しむ会

 久しぶりの茶室に座してしみじみ思う。
「この雰囲気が大好き」と。
しんしんと湯の滾る音に耳を傾けながら、
白いものが降りしきる庭を眺める。
掌に包んだ茶碗の何と温かいこと。
母がさりげなく生けこんだ床の寒椿の濃い紅が
一点の華やぎを見せている。


「毎週のお茶稽古はもう無理」と母が茶道教室を
「お茶を楽しむ会」へと改めて、昨日はその会の
2月の初稽古。メンバーは全部で9名だけれど、
お休みが二人。一人は新型インフルエンザの由。
全員が奥伝まで修めた方たちなので、母も安心して
殆ど口を出さない。
みなさんするすると楽しそうに点前を進めている。
温かいお茶と、目にも口にも楽しいお菓子。

二月恒例の道具組は、
棚は紹鴎棚、薄茶器は老松、水指は捻り梅、濃茶入は鶴首

茶碗は梅に鶯

菓子は寒牡丹、器は梅形皿

穏やかな会話も弾んで、心地良い雰囲気が茶室を満たす。
母が「みなさん、よくお出来になるわね」と目を細める。
心に清々しさの残るお集まりになった。

 母のお茶を学んだ生徒さん達は、母の教えをきちんと受け取って、
次へと繋いでいってくださるのだろう。

霙混じりの雨が降りしきる。