朝風の中に秋の気配が

 雨戸を繰ると入ってくる風のどこかに
きりっとした潔さの様なものを感じました。
昼の最高気温は相変わらず30℃前後と
ずーっと馴染んできた数値が並んではいますものの。
雲が高くなりました。
入道雲の姿を見ることはもうなくなりました。
碧い空に綿あめのようなおいしそうな雲がぽかりぽかりと浮かんでいます。


 9月に入って一週間。
燃え立つような暑さから解放されて、
音楽を聴くにも絵を観るにもやきものを作るにも
ぴったりの季節がやってきました。
夏には夏にふさわしい涼しくて軽やかなコンサートは
たくさんありましたけれど、
これからはじっくりと聴き、観るに浸りたいと思います。
 今日は午後から、今秋のシンフォニーの聴き初めです。
曲目はチャイコフスキー交響曲第6番悲愴。
夫の親しい友人Tさんからのプレゼント、
今日の逭空には不釣り合いかもしれませんけれど、
私の好みを承知の上で、彼が選んで下さったものです。
マーク・ヴィグルスワースの指揮、
東京交響楽団の演奏がとても楽しみです。


 「悲愴」を聴いてきました。
期待していた以上の素晴らしい演奏でした。
特に第3楽章の軽快でリズミカルな前半から
大きなうねりと共にほとばしるような激しさを見せる後半へ、
その高まりに心が揺さぶられました。
第4楽章最終部の静かに消え入るような終わり方は、
忘れものをしたような心許なさをいつも遺していくのですが。


この文章の最初に
入道雲の姿を見ることは、もうなくなりました」と
書きましたけれど、
書いたその日にオペラシティの最上階から空に聳え立つ入道雲
見ました。

夏はまだしばらく居座るつもりなのかもしれません。