文月も半ばを過ぎて

梅雨はどこをさ迷っているのか、東京には雨らしい雨もないままに、
7月も半ばすぎとなりました。
連日真夏日猛暑日が繰り返されて、草木も人々も元気がありません。


でも今朝のこと水撒きとゴミ捨てを兼ねて外に出ましたら、
意外に風が涼しくてほっとしました。
身構えて帽子をかぶりサングラスをかけてと重装備でしたが
うっすらと雲がかかりやさしい空でした。


14日(金)に夏休み前、最後のお茶の会をしました。
猛暑日の予報でしたから、和服は着ないと決めて、
お点前も冷水点ともう一方で火を入れて濃茶点前と決めました。
洋服で動くというのはまことに楽なもの、
いつになく支度も早々と済みました。


床の間には「瀧」一文字の軸をかけ
花はガラスの氷柱に活けました。


主の点前座にはぶっかき氷を浮かべた平水指にガラスの茶器と茶碗を
配しました。


触感や視覚から涼を感じて頂きたいとの願いからです。


もう一方の点前座には七夕の織姫に因んで糸巻き棚を設えました。
中段が糸巻きの形をした爪紅(ツマクレ)【彫り込んだ部分だけ
朱色の縁取りをすること】で、なかなか華やいだ棚です。


お菓子はこうした品を用意しました。
もちろん冷たくしてあります。

上は「せせらぎ」,下は「水中花」です。


そしてもう一品は青りんごを。


参加の方に二点前ずつ稽古をしていただき、後は夏休み前の
納会茶話会に移りました。
基本私語をあまりせずに、稽古をすることになっていますけれど、
茶話会は無礼講
日頃は出ない話題に花が咲き、時を忘れて過ごしました。



その翌日15日は、私の誕生日
朝早くに次男からのバラの花束が届きました。

私の好みを知り抜いている息子の選んだ薔薇はピンクの濃淡、
そして数本の紅薔薇
早速活け込めば、部屋は芳しく甘い香りに満たされます。


お昼は長男がお寿司を用意してくれて、

心もお腹もいっぱいになりました。


日付が替わる頃、ボストンのNoahと


娘から絵手紙が送られてきました。

Noahのカードには、私が好きなピンクの薔薇が描かれ、
娘の絵にはかって一緒に行ったハワイの海とプルメリアの花が
画いてありました。

皆のあたたかさに包まれて、
しあわせな〇〇回目の誕生日は暮れていきました。

ボストンは夏に早変わり

瑞々しい緑が大地を覆っていた期間はあっという間に過ぎて、今はもう夏を思わせる、深い緑の季節になりました。
このところ連日華氏90度以上30℃前後のお暑い日々です。


娘の長男Noahが10歳になりました。
小学生の間は親が誕生会を準備して、子供の友人を招いてもてなすのが習慣化しているようです。
幼いころは男女関係なく入り混じって、追いかけっこなどたわいもない遊びに興じていましたけれど、
4年生ともなると男の子と女の子の興味の対象が分かれてくるので、ノアの場合も招いたのは男の子ばかり、
何しろパーティ会場が、カーレース場でしたから。
子供の興味に合わせてパーティ会場を選ぶ親の苦労もなかなかです。
場所は、外からは倉庫のように見える大きな建物、中に入ればレースカーがうなりを上げて走っています。
疾走するレースーカーは私の眼にもかっこ良く、子供たちは食い入るように見入っっています。


10名集まった所でもレース開始、危険も伴うカーレースですから、係の人から詳しい説明を受けて、目出し帽をかぶった上にヘルメット、係員の点検を受けて、車に乗り込みます。

低い車体に体を沈めたところは少年ながらなかなか堂に入っています。

レースは2回行われ、

総合でタイムを競い、表彰台に立って、栄誉を称えられるという本格的なもの。

2位になったノアの誇らしげな顔が印象的でした。


ピザでお腹を満たし、ケーキを楽しんで、

友人たちのプレゼントを開けてとこの日のノアはテンション上りっぱなし
一生忘れられない日になったことでしょう。

若みどりまばゆいボストンから

先月27日にボストンへやって来ました。

成田から13時間、時差13時間のこの地は、ちょうど日本の裏側、しばらく時差に悩まされましたけれど、ほぼ一週間たってようやくしゃんとしたところです。


着いた翌日28日には、近くの観光地Cape Codに出かけました。

当日は、あいにくお天気が崩れ、外の遊びが出来ませんでしたから、
エクササイズにプールにゲームと室内遊戯に興じて、



海辺の楽しみとは無縁でしたけれど。

旅に出たのは、ついた翌々日がこちらの休日Memorial Dayで
三連休だったからです。
街は至る所に国旗がはためき、
戦没者を記念するceremonyが開かれていました。

戦没者追悼記念日、南北戦争の勇者を悼むことに端を発しているそうです。




着いて直ぐの旅で、時差の解消が上手にできず、
これは後に少々響きました。
でもおいしい空気とまばゆいばかりの若葉が体を癒してくれたのは
確かです。


娘が朝に夕にドライヴに連れ出してくれて
懐かしい風景に多く出会いました。
この地はやはり私の心の故郷だと改めて思う日々です。


皐月の日々に

5月の初めには、ポヤポヤと芽吹き始めたばかりだった木の芽が
勢いよく広がって、2週間の間に淡みどりが深緑にと変わっていきました。
渡しの季節、
春は影を潜めて、庭はもうすっかり夏の雰囲気になりました。


5月の茶室は冬の炉点前から夏の風炉点前へと模様替えの季節を迎えます。
和服の衣替えは六月ですけれど、私は5月からもう一重に切り替えます。
今月のお茶の会は5月12日に行いました。
時を合わせたように、当日は最高気温29度の夏日となりました。
茶室はご覧のような夏の佇まい、

床の間の軸は「山青く水緑なり」、花は義妹丹精の夏花9種、
水指は海底のさまを描いた逆さ瓢です。
茶菓子は端午の節句の名残りの柏餅

時の花「藤」

母の日のシンボル「カーネーション

茶入れは「藤」、茶碗も藤色にしてみました。

参加した皆さんは涼し気な一重のお召し物

久しぶりの風炉点前に真剣に取り組んでいらっしゃいました。


その二日後は「母の日」
前々日に長男からの薔薇の鉢植え

前日に娘からの紫陽花「キラキラ星」の鉢植え

当日次男からのカーネーションのアレンジメント

三つ揃えば、かように豪華、私は有頂天です。

そして長男の提案で、息子二人の手になる昼食は、
エビのチリソース、キュウリと春雨のサラダ、ワタリガニの味噌汁
揚げ膳据え膳の私
しあわせな母の日となりました。


冷え込みがなくなった皐月の日々は、
新しい花たちが次々に顔を見せる季節
薔薇

鈴蘭

夏の花月見草も

虫たちの動きも活発

鳥たちは巣掛けを始めて、

楓も子供たちを旅立たせる準備を始めています。

若葉の季節は、生命が芽生え、育治、旅立って行く、
躍動の季節なのですね。


五月雨がしとしと降る様は、梅雨の近さを感じさせます。
山法師が咲き始めました。緑の絨毯のような若葉の上に
ふわふわと浮かぶがごとくに。

間もなく紫陽花が姿を見せ始めることでしょう。

初夏の気配が漂い始めて

気が付けば今日は22日、四月も残り少なです。
季節があまり大きく動くので、木々や花々の変化に気を取られて、
やることもせずに外ばかりに気を取られていたような気がします。


今日は曇り、気温も平年並みとか、午後から雨のようです。
気温が当たり前になると寒さを感じてしまいます。
今までの夏日に体が慣れてしまったのでしょう。
一昨日まで、4月では観測史上初と言われる連続5日間の夏日続き、
辺りは俄かに夏の気配が漂いめました。
少しずつ芽生えていた木々の葉が一斉に広がり庭は様相一変です。


一気に咲きだしたツツジの赤や、

シャガの黄色が緑に彩を添えています。


それにしても今年の春は不思議な期間でした。
3月の20日過ぎに開花した桜は、結局4月の16日頃まで長持ちして
私たちを楽しませてくれました。




桜に合わせて、花海棠

シャクナゲ

花桃も華やかでした。


そして急な夏日到来、かき氷が飛ぶようにうれたそうです。
桜からハナミズキへと季節が手渡しされました。


季節の激変に冬物から夏物までが行ったり来たり、人間は右往左往です。
でも一方で季節の動きを敏感に察知して応ずる花たちの彩の多彩さと
動きの速さはには、日々目を見張るばかり。
日本の四季は本当にゆたかで美しい、
この地に身を置くことのありがたさを常にも増して感じながら、
心ときめかせる四月の日々です。

ソメイヨシノに出会えた日

冷たい雨が降り続いた後、昨日は明るい日差しが訪れました。
とはいっても風の中には、まだちょっとかすかに冬の気配も残ります。

弟夫妻と世田谷に住む叔母(母の妹)を見舞う約束が以前からありました。
世田谷は桜と名の付く地名が多く、さくらに会える期待もありました。


弟たちが11時前に迎えに来てくれて、
予約してあったお菓子を蛸八さんでピック、
なじみの花屋さんで、春の花かごを用意して、次は腹ごしらえ。
春のお膳を楽しみに、たまに顔を出す和食屋さんへ。
彩きれいなランチを楽しんで、



一路世田谷へと向かいます。
道中の桜はまだまだ蕾が固く、花はほんのちらほら、
今年は春が本当に晩生、でも長く花が楽しめそうな予感です。


花の広がりを初めて見たのは、
叔母の家の前を流れる蛇崩川の畔でした。
ほとんど白に近いソメイヨシノが7部咲きの木が一本だけありました。




具合が気がかりだった上の叔母はもう90歳、
病身なのにとても優しく穏やか、笑顔を絶やさず話をしてくれました。
心の寛やか人は、置かれた状況、体調、環境を超えて、
こんなにもおおらかに、まろやかに生きられるのだと、
感動しながら見惚れておりました。
帰り際の叔母の手の柔らかく、温かかったこと、
間を置かずまた訪問しようと、弟たちと約したことでした。


この前日は日差しはあっても風の冷たい日でしたけれど、
川辺に春が来ていると、聞いていましたから、
買い物の続きにちょっと岸辺を歩きました。

色の濃い桜は河津桜でしょうか?ヒヨドリが群れて、


水辺には水鳥たちが、のんびりと陽ざしを楽しんでおりました。


三寒四温は春に向かう徴、それなのにその都度弱音を吐く私。
でも自然に生きる者たちは、細かいことなど意に介せず、
ゆったりを過ごしておりました。
いくつになっても、学ぶこと限り無しです。

ためらいの春

桜が開きかけて、戸惑っています。
最高気温が20度近くなったのは3日前、その翌日は冬戻りと
天候が大揺れして、寒空に開花した靖国神社の観察桜もしまった、
早まったと、思っているかもしれません。
季節は気まぐれ、大きなマフラーや厚いコートが
出たり入ったりしています。


とはいうものの、庭に出れば花たちはやっぱり春の様子を見せ始めて、
可愛い色や姿を見せてくれています。


乙女椿が次々に咲いて、そのピンク色は春そのもの、

赤い藪椿も盛りです。

勢い良く伸びているのは野の花たち、
人目も引かない在るか無きかの小さな花を咲かせて、



自分の春を楽しんでいるように見えます。


「寒さ暑さも彼岸まで」、若菜を使ったお膳を用意して、


彼岸の皆さんと語らった一週間が過ぎていきました。


風が冷たいとは言っても、陽射しは明るく、心は外へと向いていきます。
ちょっと足を伸ばせば、早咲きの桜にも出会えます。


昨日は、友人を誘って出光美術館へ出かけました。
大好きな「古唐津」の茶陶展を見に。
お茶の隆盛と共に盛んになった国産の茶陶器、
焼きはお馴染みの楽、萩、志野、織部、そして唐津
その他にも信楽備前丹波、瀬戸・・・。
焼きものに魅せられている身には、
陶器の名品を見る機会は心ときめく時間です。

昨日観た作品は178品、数が多すぎて丹念には観きれず、
目を引かれたものを、点々と見歩く結果となりましたが。



印象はぬくもり、素朴、底力。
志野や織部との共通点が多く見いだせたのが楽しい経験でした。